服に使われている繊維の種類と特徴をおさらい。静電気を抑える組み合わせを取り入れて快適に過ごそう。

日々、私たちが使う服などの衣類やバッグ、タオルやカーテンには様々な繊維が使われています。

繊維には大きく分けると自然界のものから作られた天然繊維と化学的に合成して作られた化学繊維があります。
さらに天然繊維の中には植物から作られる植物繊維、動物の毛などを素材にした動物繊維があり、
化学繊維の中には木材チップなどのパルプから作る再生繊維、その再生繊維にさらに化学的な結合を加えた半再生繊維、石油系の素材を中心に作られた合成繊維があります。

さらにその中には様々な種類の素材があるので、ここでは主要な素材を紹介しています。

自然界の素材で作られた天然繊維
 →植物繊維、動物繊維がある
化学的に合成して作られた化学繊維
 →再生繊維、半再生繊維、合成繊維がある

目次

天然繊維

【天然繊維】 ①植物繊維  主成分セルロース

種類素材特徴
綿タネを守る毛、綿花吸水性、発散性が高い、柔らかい、染めやすい
植物の内側にある柔繊維繊維が強い、吸熱性、発散性に富む 光沢がある

天然繊維の中にはもっともポピュラーで馴染み深い繊維の一つである綿と、速乾性の高い涼しげながあります。どちらも吸水性の高い生地ですが、麻の吸水性の方がより高いとされています。綿、麻共に縮みやすく麻はシワになりやすい性質があります。麻は15種類ほどの植物から取れる繊維で織られた生地の総称です。
天然繊維は化学繊維に比べ静電気がおきにくいのも特徴です。

主成分のセルロースとは直鎖状に重合した天然の高分子化合物の一種で、植物の細胞壁および繊維の主成分です。水で溶けることがありません。

【天然繊維】 ②動物繊維  主成分タンパク質

種類素材特徴
カイコの繭光沢がある、軽くて柔らかい、素肌に優しい
ウール羊の毛保温性、吸湿性、発散性、伸縮性に富む
カシミヤカシミヤ山羊の毛繊維が細いため軽くしなやか、保温性、放湿性が高い
モヘアアンゴラヤギの毛毛足がながく光沢がある、通気性が高い
アルパカアルパカの毛柔らかくて滑らか、毛玉ができにくい

絹(シルク)はカイコの繭からとった動物繊維で1個の繭から約1000メートル取れる長繊維です。独特の光沢となめらかな肌触りは古来より珍重されてきました。また希少性と光沢の美しさから価格は他の繊維で作る生地よりも高くなっていますが、扱いが難しいのが特徴です。

動物の毛を使用した天然繊維(ウールなど)の大まかな特徴は保温性の高さと吸湿性、放湿性が優れている点です。これは山間部にいる動物たちをイメージするのが一番わかりやすく、体が冷えないように覆われた毛で外気と体の表面を遮断し、体温を外に逃さない役割を果たしています。また、雨や湿気で濡れたままだと体温が下がるので、外に湿気を放出して蒸れや湿度の調整をしています。
ウールは生産量が最大の毛織物で他のものより安価で静電気が起きにくいのがメリットですが、洗濯時に気をつけないととフェルト状になる硬くなります。
カシミヤは繊維の細さ故に軽くしなやかですが、毛玉ができやすい特徴があります。
アルパカは毛の内部が空洞になっており、熱をためやすく、ウールやカシミヤに比べると毛玉ができにくいのが特徴です。

アンゴラやぎ
アンゴラヤギ、モヘアの原料となる毛が採れる


モヘアは毛足が長く起毛しており、暖かい空気を溜め込む性質があります。見た目はふわふわもこもこしています。

動物系の天然繊維は主成分がタンパク質のため、保管時に虫に食われないよう防虫剤が必須です。また、食べ物などの汚れの付着も虫が好む原因となるので、ニットの季節の終わりにはクリーニングに出すようにしましょう

化学繊維

【化学繊維】 ①再生繊維 主成分セルロース

種類素材特徴
レーヨン木材パルプシルクのような肌触り、光沢感、吸湿性、通気性
キュプラ繊維の細かい綿
(コットンリンター)
吸湿性 放湿性 光沢感 染色しやすい

【化学繊維】 ②半再生繊維 主成分アセチルセルロース

種類素材特徴
アセテート木材パルプ適度な吸湿性、放湿性、保温性があり、軽い。 絹のような光沢がある。 弾力性がありシワになりにくい。
トリアセテート木材パルプ適度な吸湿性、放湿性、保温性があり、軽い。 絹のような光沢がある。 弾力性がありシワになりにくい。

レーヨン、キュプラ、アセテート(トリアセテート)は主成分が綿や麻と同じセルロースでできています。

レーヨン、アセテート(トリアセテート)は素材の木材パルプを、
キュプラはコットンリンターと呼ばれる綿花の種子の周りにある短い毛から薬品を使いセルロースを取り出し、再繊維化し、生地になったものです。再生繊維であるレーヨン、キュプラはほぼ天然繊維なので、土に還ることができます。

レーヨン、キュプラ、アセテートの特徴は絹に似た風合いや光沢を持っています。レーヨンは水に濡れると縮みやすく、強度が落ちる、紙に似た特徴を持っています。キュプラはレーヨンの水に対する欠点が幾分か改善されています。
アセテートはシワ加工やプリーツ加工がしやすくなっています。

アセテート
アセテートの生地

アセテートはセルロースに酢酸を化合させてできた繊維です。レーヨンやキュプラよりも軽く毛のような風合いがあります。
アセテートとトリアセテートの違いは酢酸の量で変わります。トリアセテートの方が酢酸の量が多く、吸湿、吸水性が低いです。

自然界に存在する素材を薬品などと混ぜ合わせ、繊維の主成分であるセルロースを取り出し、さらに圧力で押し出したものが再生繊維、半再生繊維です。

【化学繊維】 ③合成繊維 素材石油系

種類主成分特徴
ポリエステルポリエチエンテレフタレート丈夫で切れにくく、耐久性に富む、色落ちしにくい
ナイロンポリアミド摩耗、摩擦に強い、染色しやすい ポリエステルより吸水性が高い
アクリルアクリロニトリルふっくらやわらかい、シワになりにくい、ウール近い見た目

合成繊維とは石油を素材に化学的に合成した物質から作り出された繊維です。
今まで紹介した繊維を違い、元となる素材は3種類とも石油系で共通ですが、主成分がそれぞれ違います。


まず、ポリエステルとナイロンに大きな見た目の違いはありません。共通する特徴は強度があり、軽くしわになりにくい点です。
ポリエステルの原料はペットボトルと同じ、ポリエチレンテレフタレートと呼ばれる石油由来の素材です。吸水性がなくしわになりにくいですが、静電気が起きやすい特徴があります。

ナイロン
ナイロンの生地 軽くしなやか



ナイロンは摩擦強度に優れ、吸水性、伸縮性に富みます。また、染色しやすい素材です。1935年に世界で初めて作られた化学繊維です。ポリエステルよりも吸水性に富み、染色しやすいのが特徴です。

世界で一番流通している素材がポリエステルで次いでナイロンとなっています。流通量の差からナイロンの方が高価になっています。

アクリルは石油系の繊維ですが、ウールのようにふんわり軽い、暖かさを兼ね備えた繊維です。静電気が発生しやすく、毛玉が多いのがデメリットです。また吸水性、放湿性があまりないのでウールより蒸れやすくなっています。

石油系の繊維は熱に弱い特徴があるので、タンブラー感想や、アイロン等を使用する場合は洗濯タグでお手入れ方法を確認するようにしましょう。

繊維の組み合わせで静電気の発生が抑えられる!?静電気を抑えるのに効果的な組み合わせは?

上記の表にある通り、繊維には帯電しにくい繊維、マイナスの電気を持つ繊維、プラスの電気を持つ繊維があります。
素材の組み合わせ次第では静電気の発生を抑えることができます。

静電気を起こしやすい組み合わせ マイナス電気×プラス電気

素材の組み合わせで静電気が起こることも


静電気は衣類の摩擦で発生します。その時にマイナスの電気を帯電しやすい繊維と、プラスの電気を帯電しやすい繊維が摩擦を起こすとより静電気が発生しやすくなります。上記の表でお互いが遠い位置にある、ウールのセーターの上にポリエステルのアウターなどを重ねる組み合わせがその例です。

【静電気を起こしにくい組み合わせ①】 
マイナス電気×マイナス電気 または プラス電気×プラス電気


摩擦する素材の電気の性質が同じだと静電気が起きにくくなります。つまりマイナス電気が帯電しやすい素材同士、プラス電気が帯電しやすい素材同士を組み合わせることで静電気の発生を抑えることができます。
ポリエステルのシャツにアクリルのセーターを組み合わせることでウールのセーターを選んだ場合より静電気の発生を抑えることができます。

【静電気を起こしにくい組み合わせ② 】
綿、麻と組み合わせる

綿や麻はもともと静電気を起こしにくい性質を持つのでそれらの素材と組み合わせることで静電気の発生を抑えることができます。綿や麻は化学繊維よりも皮膚に近いため静電気が起きにくいと言われています。インナーやシャツに天然繊維のものを選ぶだけでも静電気の発生を抑えられるのでオススメです。

2種類以上の繊維を合わせて品質を向上させる混紡

タグ

混紡とは2種類以上の繊維を組み合わせて糸を作ることをいいます。混紡は片方のデメリットをもう片方のメリットでおぎなったり、掛け算のように品質をさらに向上させる効果があります。また、高価な繊維に安価な繊維を混ぜることでコストダウンを図ることもできます。

例①:コットンとポリエステル
コットンのデメリットでもある、収縮性とシワになりやすさをポリエステルと合わせることでシワになりにくい生地ができます。

例②:ウールとナイロン
ウールとナイロンを合わせることで保温性と強度を合わせることができる

洗濯タグを見ることで適切なお手入れの方法を確認することができます。綿だけの記事に比べ綿+石油系の繊維の時はアイロンの推奨温度が下がったりとせっかくのメリットを享受できない場合があります。しっかりと確認しましょう

終わりに

知識としてなんとなくでも頭に入れておくだけでも洋服選びに幅を持たせることができますし、お手入れ方法や洗濯、感想の注意点など衣類の取り扱いに困らなくなります。特に冬は静電気が起きやすい季節。素材の違いをうまく活用して快適にすごしていきたいものです。

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