生産量日本一の町で靴下の魅力を探す旅【奈良県広陵町・大和高田市】

目次

靴下生産量日本一を誇るまち、広陵町

滋賀県に住む我々からすると「近いけれど、遠い場所、奈良」そんなイメージがあります。校外学習や遠足等で一度は行ったことはあるけれど、それっきりいってないなぁという方も決して少なくないと思います。

ナカムラは縁もあって年に数回奈良に行く機会があるのですが、奈良にも魅力的な場所、ものがたくさんあり、知れば知るほど面白い場所だなと感じます。

奈良県には実は日本一の生産量を誇る繊維産業があります。

それは…「靴下」です!見出しにも書いてありますね。ご存じでしたかでしょうか?
地元の方も知らないとおっしゃっていたので知ってた方はまさに奈良通!
ちなみにナカムラはすみません、知りませんでした。

奈良県の主要な靴下の生産地は広陵町や大和高田市近辺で150以上もの靴下の関連企業があるそうです。その広陵町のあたりは江戸時代より「大和木綿」と呼ばれる綿が生産されており、その綿を使った木綿の織物が発展していきました。
奈良県北部の大部分を占める大和盆地(大和平野)は常に水不足の問題を抱えており、少ない米の生産量を補うために機織りの工賃で生計を立てていたそうです。

しかし明治時代に入ると鎖国も解け、近代化した海外の技術や材料が入ってくるようになります。最新の紡績機と毛足の長いインド綿に代わり、日本の綿花栽培はすっかり縮小してしまいます。

明治時代頃に使われていた手回しの靴下の編み機(S.Laboさん展示)

紡績にも近代化が進む中、馬見村(現在の広陵町)の吉井泰次郎氏が着目したのが靴下製造でした。糸屋を生業としていた泰次郎氏は海外視察の際に、手回しの編み立て機を持ち帰り、機織りに代わる仕事として靴下製造を始め、農家の副業から兼業、本業へと発展しました。

そして靴下製造が周囲の地域に広がっていくことになります。もともと原材料の産地だったからこそ、安定して品質の高い製品を提供することができ、その結果、奈良県が靴下生産量日本一になったそうです。

自転車こいで靴下作りを体験、チャリックス

奈良県の地場産業である靴下の製造を実際に体験できるスポットがあります。
株式会社創喜さんがS.Laboという自転車を漕いで靴下を作る体験ベースを運営されています。

参加者自らが自転車を漕いで作る靴下「チャリックス」は糸から自分の好きなものを選ぶことができ、靴下ができていく様子が間近に観察できる楽しみながら学べるオススメのワークショップです。
説明10分+自転車10分~15分、仕上げ5分と全工程30分あれば1組の靴下が完成します。
実際に工場で使われていた編み機なので、リアルな靴下作りの工程を理解できてとても勉強になりますよ。

まずは糸選び、サイズ選びから

糸は36色の中から好きな色を3色選びます。それに生成りのシルクの糸と和紙の糸を足して編んでいきます。

36色の糸見本から選ぶ
見本ももたくさんあるので困ったときの参考に

色もたくさんあってとっても悩みますが、インスピレーションで好きな3色を選びましょう。色選びで失敗したらどうしようと迷われる方も多いとお話をお聞きしましたが、安心してください!!どんな色でも素敵な靴下に仕上がるので楽しく選んでくださいね。

サイズはキッズのS・Mと大人のサイズのS・M・Lがあり、長さもショート丈、ロング丈から選べます。細かく設定されていて自分の好みの靴下作ることができるのは本当にうれしいです。
今回ナカムラは大人のサイズのSをお願いしました。
商品見本もあるので、迷われたときは見本を見てイメージを膨らませましょう。

電気いらずで究極のエコ?工業機械と自転車のギャップがおもしろい

糸、サイズが決まったが決まったら後はひたすら漕ぐ!

色、サイズが決まったらスタッフさんが編み機に糸をセットしてくださいます。準備が整ったらあとは漕ぐだけ!
ただただ自転車をこいでいくのですが、漕ぐごとに横に設置されている編み機に力が加わり、中の織機の針がくるくる回転しながら糸をすくっていき靴下が編まれていきます。
普段の運動不足も解消されてまさに一石二鳥です。
普段から自転車にお乗りの方は何も感じないかとおもいますが、久しぶりに乗る自転車は本当にいい運動でした。
ちなみに身長130センチから体験可能で、体力に自信のない方でも十分漕ぎぬくことができると思います!

しばらく漕いでいるとふっと力が抜けて編み機が全回転から半回転になります。
くるぶしあたりからかかと部分のカーブを作っています。
靴下ってくるぶし部分で曲がって(折れて)いるかと思うのですが、その工程をコンピューターの制御ではなく、ギアのかみ合わせ等で行っているそうです。

ただ漕いでいるだけで勝手に曲がることに感動を覚えながら、漕ぎ続けると再びギアが入れ替わって全回転しだします。

そのあとも漕ぎ続けていると最後に自動で糸を切って靴下の原型が出てきます。

この後は口の部分とつま先の部分をロックミシンで処理、さらに熱を加えて一つ目の靴下が出来上がりました!さらにもう一回、同じ工程を経て靴下が出来上がりました。

工場と同じ機械で商品製作の体験ができるのはとても貴重です

最近ではいろいろな企業がワークショップをやっていますが、チャリックスほどモノづくりをダイナミックに感じることのできるものはそうないんじゃないかと思います。
工場で作られている同じ機械で同じ規格の商品を自分の力で作ることができるのはとても貴重な経験だと思います。全国を探してもあまりないんじゃないかと思います。
お話を聞いていると北海道からはるばる体験に来られたお客様もいらっしゃったそうですよ!

自分で作った靴下は愛着を持って使いたくなりますし、使う度にこのワークショップことを思い返せてさらに理解が深まるのもいいですね。自分で使っても、プレゼントにしてもきっと喜ばれると思います。

スタッフさんとのお話の中にも発見や学びがたくさんありました。
広陵の歴史や靴下の魅力、オススメの観光スポット等も教えてもらいながらとても有意義なひと時を過ごせました!
百聞は一見に如かず、です。この記事で少しで少しでも興味が湧けば幸いです。
ナカムラもまた改めて伺いたいと思います。スタッフの皆さんありがとうございました!!

奈良県靴下工業協同組合さんへ行ってきました。

S.Laboさんでチャリックスを体験したあとお隣の大和高田にある奈良県靴下工業協同組合でお話を伺ってきました。冒頭にもある、奈良の靴下の歴史等をご説明頂きました。

奈良県靴下工業協同組合は昭和25年に設立され、奈良の靴下産業の下支えと舵取りをされています。
奈良の靴下産業は100年間以上続く歴史に裏打ちされた伝統的な製造技術と最新技術を巧みに融合させ、機械装置で生産される工業製品でありながら、日本人ならではの美意識と感性が生きた温もりのあるモノづくりが特徴です。

そしてそのものづくりの意識の共有を目的に組合が主体となって奈良県の靴下製造メーカー8社で構成されているオリジナルブランドに「the pair」があります。
The Pairは、従来の生産者から消費者への一方向のモノづくりを見直し、消費者ニーズをカタチにしながらファンを増やすことを目的に立ち上げた靴下ブランドです。

『The Pair』がお届けするのは、はき心地やデザイン性という個人の欲求を満足させられる商品、すなわち数値化しにくい、感性に訴えかける価値観を持った靴下です。「毎日の暮らしがワクワクする」個性が生きた靴下。それが「The Pair」ブランドのコンセプトです。

同じ組合に所属していてもライバル企業同士だったり、規模の違いだったり、得意不得意の関係で足並みをそろえて一つの目的に向かって進むことが決して容易ではないのはどの産地でも共通の課題だとよくお話をうかがいます。メーカーが8社も集まって同じコンセプトの下、商品を製造するというのは非常に珍しく、企業間の結束力の高さも伺えます。

おやすみソックス
ゴムのない締め付けない靴下

オクルストアでは足元をあったかくして寒い冬を快適に過ごせるオススメの商品を入荷予定です。
プレゼントにもピッタリのものを選びましたので楽しみにお待ちください!

おすすめ贈り物

関連記事

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Nakamuraのアバター Nakamura バイヤー・ライター

二児の父親です。滋賀って本当にいい所で、面白い場所、素敵な店、オススメしたい商品、楽しい人々・・・たくさんあります!
それらのものを自分の言葉で伝えていけるよう、楽しく記事を書いていきます。
インスタグラム、フェイスブックも担当しています!

コメント

コメントする

目次