信楽焼のことを考えていたら、連続テレビ小説「スカーレット」に思いを馳せていた、という話

信楽焼のたぬき
目次

たぬきがお出迎えするまち、信楽

一度でも信楽を訪れたことがある人に信楽ときいて真っ先にイメージするものは?って質問を投げかけると90%くらいの人が「たぬき」っていうとおもいませんか?それくらいたぬきの印象の強い町です。そして信楽から全国にたぬきが縁起物として迎え入れられて、玄関先などにちょこんと座って人々の幸せを祈っている。なんて健気。
もちろんナカムラの実家にももちろんいます。

滋賀県甲賀市信楽はみなさんご存知の通り信楽焼の産地で、全国で見ても有数の規模を誇っています。一大産業となっているその信楽焼の歴史は鎌倉時代から続くといわれており、また越前・瀬戸・常滑・丹波・備前に信楽を合わせた産地は六古窯と呼ばれ、日本遺産にも認定されています。

信楽って歴史の教科書にも一度はでてくる重要な場所なんですが、どうゆうわけか地元の人間でもあまり馴染みのない場所だったりします。
小学生の校外学習で信楽に作陶体験で行ったきり行ったことがないっていう人も少なくない気がします。小学校の校外学習で作陶体験で信楽に行くって滋賀県民あるあるだと勝手におもっていますがどうなんでしょう?

個人的な感覚だとそもそも信楽、旧の甲賀、甲南なんかは見分けがつかないし、お互いの距離が近いのか、遠いのか、よくわからなかったりします。山手の町ってどこも同じように見えるし、道路も地形に沿って作られているのでまっすぐ走っているようでそうじゃないし、方向音痴の自分にはなんともわかりにくい場所です。

今回はそんな信楽焼のお話を紆余曲折ありながら2回に分けて記事にして行こうとおもいます。

信楽は鎌倉時代から続く陶器の一大産地

  1. 約400万年前に今の信楽や伊賀のあたりにできた古琵琶湖の湖底に焼き物に適した粘土が蓄えられた
  2. 琵琶湖が北上し、上質な粘土層が信楽地域に残り焼き物の材料として使われる
  3. 13世紀に古琵琶湖層の粘土を使いに常滑焼きの技術を基に開窯

    高温釉薬を施さない自然釉による簡素で素朴な器が茶の湯の世界で評価される
  4. 江戸時代に入ると釉薬を施した器の生産が始まる
  5. 明治になると火鉢や耐酸陶器など家庭用から工業用まで幅広い製品が製造されるようになる
  6. 昭和26年の信楽行幸の際に焼き物のたぬきを見た昭和天皇が詠んだ歌が紹介され、たぬきの焼き物が全国に知られることとなる

といったところでしょうか。信楽焼のたぬきの歴史ってもっと古いものだと思っていたんですが、意外に最近のことだったんですね。
滋賀の田舎の家にはたぬきの置物がけっこうあったので、歴史の長さ故の滋賀ではめちゃくちゃスタンダードな存在なんだと思っていました。

素材を生かした素朴な風合い

古琵琶湖層の粘土を使用した陶器
水瓶、茶壺、茶器、徳利、火鉢、植木鉢など大物から小物に至るまでの幅広い製品群
歴史が続く中で醸成された信楽焼独特の「わび」「さび」がある
耐火性と荒い土質、そして自然釉から成る素朴であたたかい風合い

そして現在の信楽は工業・産業系の製品、生活用品としての生産品、そして個人やご家族等のミニマムな単位のいわゆる作家さんたちが活躍する、多種多様な形態を持つ産地となっています。


記憶に新しい朝の連続テレビ小説「スカーレット」

ogama 登り窯
登り窯 熱伝導がよく高温で焼成が可能

もうひとつ、信楽といえば2019年9月から2022年3月まで放映されていた、朝の連続テレビ小説「スカーレット」が記憶に新しいところです。

ナカムラが真剣に見だしたのは主人公の喜美子が大きくなってすいちゃん(川島夕空ちゃん)から戸田恵梨香さんに変わったところからです。
ちなみに川島夕空ちゃんはEテレの「みいつけた」のすいちゃん役を卒業してすぐ喜美子になったので、自分の中では喜美子よりすいちゃんのイメージの方が強いです。

物語も中盤から後半に差し掛かるタイミングでコロナ感染者が一人、二人と確認されるようになって世間はパニック状態。もはや朝の連続テレビ小説どころの騒ぎじゃない。
人々の関心もコロナ一色になり、見えないけれど、確実に自分たちの生活圏にコロナの脅威が近づいて来ているのを日々実感しながら生活していた記憶が鮮明に残っています。

でもコロナに翻弄されて私たちの生活が様変わりしていったなかでも朝の15分だけは喜美子を取り巻く信楽の人々の変わらない日常を垣間見ることができ、なんとなく安心したのを覚えています。
喜美子の自分の情熱を陶芸に傾けながらも息子の命と向き合い、粛々と生活する様子に勇気づけられた方も多くいらっしゃったのではないかと思います。
なかなか重たい内容でハッピーエンドではなかったですが、戸田恵梨香さんの凛とした佇まいが主人公の生き様を美しく表していたのではないかと思います。

そういったコロナ元年とリンクする形でスカーレットの印象は強く残っています。

本当はスカーレットのことはあまり触れずに信楽のことを書こうとおもったのですが、楽天市場等でお世話になっている明山窯さんがやっておられるogamaの登り窯を見に行こうと思い車を走らせているとふと「スカーレット」の最終回の本当に最後の、夫と別れ息子を亡くした喜美子が力強く一人信楽の街を歩くあの印象的なシーンの坂道に不意に自分がいることに気づき、なんとなく映像の中の世界と現実世界が混ざり合うような不思議な感覚になりました。
スカーレットが始まった2019年から様変わりし続ける我々の暮らしに思いを馳せずにはいられず、その思いを書き記しておこうと思いました。

そういえば、大島優子さんと林遣都くんが知り合ったのもこのドラマで、大島さんはもうすぐおかあさんになられるんですよね。おめでとうございます。

映像化は地方にとって観光の起爆剤なのに・・・

地方にとって朝の連続テレビ小説や大河ドラマのロケ地になると、ロケ地めぐりで全国から観光客がくる地域活性の起爆剤になりうるので、どの県や県の観光局だって必死に誘致活動をしているはずです。
地場の素材を扱った仕事をしていると、地域の動きとか動向ってめちゃくちゃ気になります。大河ドラマ「江」の時も長浜市が誘致に一生懸命動いていたというのも耳にしていましたし、信楽目線で考えると、2019年秋から始まったスカーレットが2020年の3月末に終わってすぐ春が来て観光シーズンに入り、舞台だった信楽に全国からたくさんの観光客に来てくれる・・・
信楽にとってはまたとないチャンスだったのにもかかわらずコロナのせいで波にうまく乗れなかったのはさぞもどかしく、残念だっただろうなとおもいます。
そういう意味では大河ドラマの明智光秀のゆかりの地、大津市坂本周辺も同じように不遇だったと思います。
スカーレットが始まった2019年9月からは想像もつかない世の中になり、そしてあと2年半後にはコロナが収まって地方にも活気が戻っていることを祈るばかりです。

現在もコロナ禍真っ只中で連日過去最高の感染者数も記録されていますが、感染対策をバッチリして各自二度と来ない「今」を楽しみましょう!!この世のをうまく楽しく生き抜く方法がなん通りもあってもいいきがします。

今年はセラミックアートマーケットも陶器祭りもあるようです

今年は9月17日〜9月19日に陶芸の森で信楽セラミックアートマーケットが、そして10月上旬には信楽陶器祭りが開催予定とのことですので是非足を運んで見てはいかがでしょうか?陶器市は掘り出し物があってとっても楽しいですよ。作家さんとも直接やりとりできるのも魅力です。

ただ、最近では賑わいすぎて車が全然動かず、泣く泣く引き返したという声を何人かの知り合いから聞きました。確かによく考えると信楽って逃げ道がないですよね。

主要道路が307号線しかないので駐車場待ち等で車の流れが止まってしまうと本当に動けなくなるみたいなので、事前に情報を調べて場合によっては公共交通期間で行かれるのも良いかもしれません。

セラミック・アート・マーケット
開催日時:2022年9月17日(土)〜9月19日(月)
場所:信楽陶芸の森
URL: http://www.sccp.jp/park/market/
「作品と作家に出会う」がテーマ。県内に在住、在勤の陶芸をはじめとする作家が自身で作った作品を販売する。130ものブースがあり、作り手と使い手が出会い繋がることができる。

また、2022年10月には信楽陶器祭りも予定されているようですので、詳細が分かり次第オクルメディアでも紹介したいと思います。

明山窯 名入れフリーカップ(生成り_シングル)

2,750円 (税込)

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1,320円 (税込)

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Nakamuraのアバター Nakamura バイヤー・ライター

二児の父親です。滋賀って本当にいい所で、面白い場所、素敵な店、オススメしたい商品、楽しい人々・・・たくさんあります!
それらのものを自分の言葉で伝えていけるよう、楽しく記事を書いていきます。
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