【高島ちぢみ】日本の暑い夏にピッタリ。シャリ感が涼しい。

暑い夏を快適に過ごす方法は沢山あります。
日差しを遮断したり、涼しい場所に行ったり、冷たい飲み物を飲んだり。
屋外だとポータブル扇風機を使っている人も沢山見かけますよね。
ですがやはり涼しい服を着る、ということが基本。
身体に直接まとうものです。当たり前ですがこれにこだわるか否かで夏の快適さに大きな差がでます。

技術の進歩によって生地の素材もいろんなものを見るようになりました。
たとえば冷感接触という素材をよく耳にすると思います。
冷たくて、気持ちがよくて、着たての時のひんやり感はたまりません。
けれど冷感が長続きしなかったり、汗をあんまり吸い取ってくれなかったりと、メリットばかりでないことも事実。

高温多湿の日本では、天然素材をまとうのが最も過ごしやすいんだと思います。
夏場によく着られる綿や麻、これらの繊維の中は空洞になっていて、通気性が良く、夏場は風を通したり、
肌への負担が少ないなどのメリットがたくさんあるんです。
特に水分を良く放出する麻は、夏には最適な素材だと言われています。

ですが、今回は麻とは別のお話。
織物を特殊に加工した”縮(ちぢみ)“と呼ばれる生地、なかでも綿を使った滋賀県高島市の”高島ちぢみ”についてお話します。

目次

”ちぢみ”とは

縮緬生地
縮緬(ちりめん)

シボというシワがついた薄手の織物の総称をクレープ(crepe)といい、シボを出す加工のことをクレープ加工などと呼びます。
綿や綿風のものを縮(ちぢみ)、絹や絹風のものを縮緬(ちりめん)、洋装用の生地をクレープというように呼び分けます。
シワの凹凸があるので、肌に密着する布の面積が少なくなった、良い肌ざわりが特徴です。
綿の縮は涼しく夏向けの衣料品や肌着などで人気があり、なかでも高島ちぢみはその着心地に酔いしれたファンが年々拡大していっています。
加工される織物は綿麻混合のものもありますが、高島ちぢみでは綿100%のものが多くを占めています。
綿を使うことで柔らかく織られた生地が、肌着などの身体に触れるものの素材としてはピッタリなのです。

高島ちぢみとは

高島ちぢみ
高島ちぢみ

高島ちぢみは、織り糸の本数が通常の2/3程度と少ないため、織られた生地の隙間が多くなっています。
そのため、風通しが非常に良いんです。

また吸水性が高いため汗もよく吸いますし、乾くのが早いことも特徴。
ここで、高島ちぢみによく使われる綿と、夏の素材筆頭の麻を比較してみます。

・吸湿性・・麻:〇 綿:◎
(水分を吸収する性能)
・放湿性・・麻:◎ 綿:〇
(吸収した水分を放出する性能)

どちらの性質も高いですが、素材ごとに違いがあります。
上記のとおり吸湿性で麻に勝っている綿ですが、放湿性では劣っています。

ですがそのビハインドを補うのが”シボ(シワ)”
シボによって通常の生地よりも表面積が多くなり、空気と接する面積が増えます。
放湿性は空気と接する面積に依存するため、綿でも高い放湿性を発揮するのです。
簡単に言うと、

・吸湿性・・麻:〇 綿:◎ 高島ちぢみ:◎
(水分を吸収する性能)
・放湿性・・麻:◎ 綿:〇 高島ちぢみ:◎
(吸収した水分を放出する性能)

といった高スペックの生地となっているんです。

また、高島ちぢみは独特のシャリシャリした感触も特徴の一つ。
語感としてなんだかナイロンっぽく聞こえますが、そんなことはありません。
綿生地ですので、シャリっとしながらも柔らかく、サラッとしていて夏にピッタリの生地です。

そういった特徴から、パジャマやステテコなどとしての人気が高まり、滋賀県の一大ブランドとなっています。

高島ちぢみの歴史

海津(高島市)
海津(高島市)から望む豊かな琵琶湖

水が豊かな高島市では古来より織物の生産がさかんに行われています。
高島ちぢみも古くは江戸時代末期から生産されていました。
ただ当時は農家の、作物のとれない冬の副業だったそうです。
副業とはいうものの、とても稼ぎも良くて、本業の妨げになるほど生産に根を詰めてしまい生産禁止のお触れが出たほど。
それらの生地を地元の問屋が取りまとめて、京都や大阪の卸問屋に販売し、全国へ広まっていったそうです。

その後、国内の他の生地ブランドとの競争などがありながらも、明治末期には海外に輸出されるほどに
知名度も高まっていきました。
ですが第二次世界大戦をむかえ、輸出が激減。
国内でも設備の縮小が求められるなどで、生産量もどんどんと減少していきました。

戦後の高度経済成長期に突入すると、今のような普段着や肌着としての需要が生まれて、生産も再度拡大。
輸出量も増えていき、高島ちぢみは好調の兆しを見せていました。
ですが、円高や後継者不足によって生産が再び減少。廃業する関連業者も増えていきました。

そして2008年、高島の関連企業は高島ちぢみの復活を目指します。
織物組合、晒組合、織物企業まどの関連組織が一体となり、”地域団体商標登録”を取得して高島ちぢみを正式にブランド化したのです。

地域団体商標制度とは

地域の特産物を保護し、「地域ブランド」を地元が独占使用権と排他権を有することを認めるという制度。
他の地域の業者が勝手に地域ブランドを名乗って販売できなくなりました。
これにより該当商品の利益が健全化し、後継者育成などにも力を注げるように。
兵庫県「豊岡鞄」、愛媛県「今治タオル」などが登録したことで有名。

全国的な認知度の向上活動、販路開拓を進めていきました。
大きな後押しとなったのがクールビズ。
クールビスにぴったりな高島ちぢみは、その快適さが改めて注目されるようになりました。
その後、メディアや販売店での特設コーナーなど露出が増え、着々とファンを獲得していったのです。

数年前では高島ちぢみを使ったマスクも話題になりましたよね。
当時、高島帆布の製品しか扱っていなかったのですが、”高島”と目にしたお客さまから、
「マスクをちょうだい!」とよくお問合せをいただくほどに”高島”の名が知られることとなりました。

時代の後押しもありましたが、生地そのものの高い品質、無二の特性があったからこその復活劇ですね。
いまでは東南アジアへの輸出も活発になり、世界的ブランドの確立へと日々前進しています。

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この記事を書いた人

KUBOのアバター KUBO バイヤー/メディア担当

OQRU STOREのバイヤー兼、メディア担当兼、バッグ職人。
2022年8月から入社したフレッシュな新入社員(おじさん)
使うと味のでるものや、妙に細かいところをこだわった商品が好き。
欲しいものはだいたい高い。

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